-心くつろぐHYGGEな時間- こころぐ vol.11
名前に込められた意味や思いをカタチに
世界でひとつだけのネームアート
「心までハレにするMarisa Grace(マリサグレース)」と 「忙しい女性を応援するSTORY(ストーリー)」から生まれた、暮らしにまつわるモノやコトを紹介するコラムです。北欧デンマーク発祥の「ヒュッゲ」という価値観を取り入れながら、心くつろぐ時間をお届けします。
名前は、親から子へ贈られる初めてのギフト。名前の数だけ人生があり、一生を共にするとても大切なものです。人に限らず、あらゆるモノ・コトには名前がつけられ、そのとき初めて概念が生まれます。
そんな奥深い名前を1 点もののアートへと昇華するアーティスト、Boojil(ブージル)さん。Boojil さんの手にかかれば、どんな名前も愛と希望が詰まったアート作品に。これまで3000 人以上の名前を作品にしてきたといいます。
唯一無二のネームアートはどんなふうに作られるのか。Boojil さんが営む「東京おかっぱちゃんハウス」におじゃましてお話をうかがいました。
西武新宿線・上石神井駅から徒歩7 分。緑に囲まれた住宅街に佇む、敷地100 坪、築70 年の大きな古民家
をリノベーションした「東京おかっぱちゃんハウス」。一歩中に入ると、イベントスペース、カフェスペー
ス、テラス、縁側スペース、ギャラリー、常設ショップがあり、さまざまな催し物が行われています。
「名前を大切にできたらいいな」という思いから始まった、名前をアート作品に仕上げるプロジェクト
「ONLY ONE NAME」。幼少期、名前を読み間違えられることが少々コンプレックスだったというBoojil
さん。「名前を絵で表現することで、字の持つ意味に“希望が有る”ことを知り、すごくいい名前だと気づけた」といいます。
「ネームアートは、エピソードがあって初めてでき上がるもの。意味を調べたり、配置を考えたり、モチー
フを1からデザインしたり、面白いし、やりがいがあります」。
イベントや展示会が入っていないときは、2 階のギャラリースペースがBoojil さんのアトリエ。たくさんの画材や資料に囲まれているのかと思いきや、無駄がなくじつにシンプル。思いのこもった作品が、今日もここから誰かの手に渡っていきます。
絶妙なバランスの文字を、下描きなしで描いているというから驚き。色をのせるごとに頭のなかで次のイメ
ージがつながっていく。そんな様子に、まるで絵本を読んでいるような気持ちになりました。
どんな名前でもネームアートにできるそうで、「日本語に限らず、英語、韓国語、中国語、アラビア語なども描いたことがある」といいます。
子ども、魚、虹、花など、作品に描かれるモチーフはどれも温かく愛に溢れています。「動物や自然など、
生命力のあるモチーフを描くことが多いですね」とBoojil さん。ひとつの文字の中に、多種多様な世界が感じられます。
木工作家の友人による手作りの木製額に入れることで、作品にほどよい空間が生まれ、より存在感が際立ちます。天然木のオーク材を使った額は、ほっこりしすぎない落ち着いた佇まいで、どんなテイストのお部屋
にもスッと馴染むのが魅力です。
こちらは、息子さんの七五三の記念に描かれた作品。名前に込められた願いや由来、家族構成、エピソード
などを基に描かれるネームアートは、出産祝い、結婚祝い、新築祝い、誕生日の記念日など、特別な日の贈り物としてとても喜ばれます。
額装された作品は、金の箔押しが施された高級感のあるスペシャルギフトボックスに入れてお届け。職人によってひとつひとつ丁寧に作られた張り箱は、これだけでほしくなってしまうほどの可愛いさ。作品を引き
立てるだけでなく、インテリアとして置いておくだけでサマになります。作品を取り出した後は、大切な写
真やお手紙など入れて、大切に保管してもらえるようこのような仕様にしたそうです。
オプションを活用すれば、オリジナルのラッピングペーパーで包装してもらうことも。ネームアートをコラ
ージュした、思わずそーっと開きたくなる素敵なデザインで、開けたあとの会話もはずむはず。
ラッピングをお願いすると、1点につき200 円が「国連WFP」に寄付され、貧困層の子どもたちの食糧支
援に繋がります。「私の仕事は旅好きから始まっているので、現地の子どもたちにお返しがしたい」という思いで寄付を始められたそうです。
「ONLY ONE NAME」プロジェクトから生まれた、お守りのようなキーホルダー。
猫たちが集まった「福」、赤ちゃんを抱くお母さんと、それを支えるお父さんが描かれた「産」、愛のパワーと笑顔が溢れる「愛」。自分用にはもちろん、誕生日、出産祝い、愛する人への贈り物にぴったりです。
(さいごに)
誕生日や記念日など、大切な人にプレゼントを贈る機会は思いのほか多く、そのたびに頭を悩ませている人も多いのではないでしょうか。せっかくのお祝いですから、贈られるほうはもちろんのこと、贈る側の思い出にも残るような素敵なギフトをチョイスしたいもの。ネームアートをきっかけに、大切な思い出を増やしてみませんか。
プロフィール
アーティスト Boojil さん
世界各国をひとりで旅した経験から生まれたカラフルでピースフルな作風で、 テレビ番組のアートワークや
プロダクト、広告、雑誌などの媒体を中心にイラストレーションを手掛ける。著書「おかっぱちゃん旅に出る」(小学館文庫)がNHK Eテレでアニメ化。2012 年、築70年の古民家をリノベーションし、イベント&レンタルスペース「東京おかっぱちゃんハウス」をオープン。2018年、絵本「おかっぱちゃん」で絵本作家デビューを果たす。
http://boojil.com
ONLY ONE NAME
https://www.onlyonename.art
撮影:竹下アキコ
取材・文:鞍田恵子