-心くつろぐHYGGEな時間-
こころぐ vol.20
古紙に植物のタネを漉き込んだ
シードペーパーから花を咲かせよう
心までハレにするファッションブランド「Marisa Grace(マリサグレース)」から生まれた、暮らしにまつわるモノやコトを紹介するコラム「こころぐ」。北欧デンマーク発祥の「ヒュッゲ」という価値観を取り入れながら、心くつろぐ時間をお届けします。
エコバッグやマイボトルを持ち歩いたり、節電や節水を心がけたり、暮らしに浸透してきた「サステナブル=持続可能」の考え方。再生紙を使うことも、私たちの身近にあってすぐに実践できるサステナブルな活動のひとつです。
日本では古くからリサイクルの文化があり、紙くずを集めて再生紙が作られてきました。現在ではさまざまな再生紙がありますが、植物のタネが漉き込まれた再生紙「「シードペーパー®」をご存知ですか? 今回は、サステナブルな暮らしにつながるシードペーパーをご紹介します。
シードペーパーとは
不要になった古紙を原料にさまざまな植物のタネを漉き込んだ環境にやさしい再生紙。1 枚1 枚手漉きした紙を自然乾燥して作られています。タネはNON-GMO (非遺伝子組み替え)、非消毒種子のみを使用。水に浸して土に埋めると芽が出て花が咲き、紙はやがて土に還ります。
育て方
①春か秋にシードペーパーをひと晩水に浸し、タネに水分を含ませる。
②5~10 ㎜ほど土に埋め、 水やりをする。
③土が乾かないように水やりすると5~10 日ほどで発芽する。
今回訪れたのは、国産シードペーパーの製造販売をする「有限会社スープ」。ノベルティの企画・制作をはじめ、シードペーパーを使ったグッズの販売などを行う会社です。 また、オフィスから出た古紙をシードペーパーへと循環するプロジェクト「古紙から花へ」を立ち上げ、社会的ニーズに応えながら、環境にやさしいサービスを提供しています。
環境に配慮した商品を使うことは企業のイメージアップにつながるため、名刺、商品タグ、ノベルティーなど、企業から依頼を受けることが多いそうですが、小ロットでも注文できるので、ショップカード、レストランのメニュー、結婚式のカードなど、個人的なオーダーやスタートアップの印刷物としても魅力的です。
小学校やイベントに出向き、環境とSDGs について学ぶワークショップを開催することも。カットしたシードペーパーを貼り合わせてペーパーフラワーを作ったり、紙漉き体験を行ったりするそうです。
花咲く和紙
「花咲く和紙®」は、伝統和紙の手漉きの技術を生かし、花やハーブのタネを漉き込んだ日本製のシードペーパー。表面が滑らかできれいに印刷ができるのが特徴。表面に見えるつぶつぶしたものが植物のタネです。
家庭用のインクジェットプリンターで印刷できるはがきサイズと名刺サイズの「花咲く和紙」。大切な人にプレゼントを贈るとき、一言メッセージが添えられていると喜びもひとしおです。
世界で活躍するイラストレーター、はやさきちーこさんが描く華やかなイラストに「Thank You」の文字が添えられたメッセージカード。メッセージを受け取ったら、土に還してジャーマンカモミールの花を咲かせましょう。
ぬり絵モビール&ガーランド
シードペーパーに描かれた絵を色鉛筆で塗り、カットしてヒモをつなげばガーランドやモビールに。塗り絵にはリラクゼーション効果があるといわれているので、子どもといっしょに大人も楽しんでみては。しばらく鑑賞したあと土に埋めれば、春にはカモミールの花が咲きます。
グリーンアースとハートのパック
さまざまな形に型抜きされたシードペーパー。左の地球や木がモチーフになったグリーンアースパックは、メッセージを添えてギフトカードに。右のミニハートパックは、結婚式の席表に添えたり、花嫁のブライダルシャワーに使ったりするのがおすすめ。ゲストへのお土産になるので、帰ってからの楽しみが増えそうです。
グリーンスティック栽培セット
グリーンスティック、エコポット、土が入った栽培キット。マッチ形のグリーンスティックにはタネが入っていて、軸を折って土に挿すだけですぐに栽培が始められます。
厚口シードペーパー
表面にタネの凹凸が出た厚口シードペーパー。ナチュラルカラーからビビッドカラーまで全17 色。オリジナルのカードやしおりなど、アイデア次第でさまざまな作品が作れます。
(さいごに)
エコ活といえば、かつてはストイックなイメージがありましたが、無理せず続けることこそサステナブル。シードペーパーを使えば、捨てられるはずの紙から植物が育つ。そんなワクワクすることから始めてみませんか。
有限会社スープのショールームでは、月1 回のオープンデイがあるそうなので、実物を見たり触ったり、デザインや印刷の相談をしたりしてみてはいかがでしょうか。
シードペーパー(有限会社スープ)
2009 年にアメリカのBloomin 社と提携し、日本およびアジアでシードペーパー関連事業を展開。2022 年に「花咲く和紙®」を開発し、販売スタート。2023 年より古紙循環プロジェクト「古紙から花へ」を開始する。
https://seedpaper.jp
撮影:竹下アキコ
取材・文:鞍田恵子