-心くつろぐHYGGEな時間-
こころぐ vol.23
紅葉するって知ってる?
美しく色づく多肉植物を楽しむ
心までハレにするファッションブランド「Marisa Grace(マリサグレース)」から生まれた、暮らしにまつわるモノやコトを紹介するコラム「こころぐ」。北欧デンマーク発祥の「ヒュッゲ」という価値観を取り入れながら、心くつろぐ時間をお届けします。
多肉植物には青々としたイメージがありますが、秋になると多肉植物もモミジやイチョウと同じように紅葉するのをご存知ですか? 赤や紫だけでなく、黄色、ピンク、白とバリエーションに富んだ色の変化が楽しめ、夏と冬ではまったく違う表情を見せてくれます。
そんな紅葉する多肉植物の魅力を、開催する講座が即満席になるほど人気の多肉植物スタイリング作家kurumi さんに教えてもらいました。
[紅葉のメカニズム]

紅葉は、気温の低下とともに貯蔵されていたブドウ糖が赤い色素を持つアントシアニンに変化し、紫外線や寒さから身を守る現象。多肉植物は葉に水分や養分を蓄えているため、イチョウやモミジのように落葉せず、夏には色がさめて本来の青々とした緑色へと戻っていきます。また、原産地によって紅葉する時期が異なり、夏に紅葉する品種もあるため、一年を通してさまざまな色合いが楽しめます。

緑色から紫色へと色づくパープルヘイズ。「多肉植物の紅葉は一気に色が変わるのではなく、少しずつ色づいていくのも特徴で、寒さが増すとさらに紫色が強くなっていきます」とのこと。美しいグラデーションが楽しめるのも、この時期ならではです。

緑色から赤に変化するレッドベリー。どちらも同じ品種ですが、左は赤く紅葉し、右は緑色のまま。肥料を与えると紅葉しにくいので、肥料を与えた多肉植物は、右のように葉が立ち上がり、冬でも青々としているのだそうです。
[紅葉が美しいおすすめ品種]

美しい紅葉が楽しめて、手に入りやすい品種を教えてもらいました。「寒さが厳しくなると成長が止まり、葉をキュッと閉じて休眠するので、コロンとした姿もかわいいですよ」とkurumi さん。休眠する姿を観察するのも楽しみ方の1つです。
左奥:小人の祭錦、右奥:姫秀麗、左手前:パープルヘイズ、右手前:ルンヨニー錦
[美しく紅葉させるには]

美しく紅葉させるためには、しっかりと日に当てることが大切。日照時間が長いほどアントシアニンが増え、鮮やかな赤や紫色に色づいていきます。

土が乾燥していることも美しい紅葉の条件。この時期は、夕方までに土が乾くようにできるだけ早い時間帯に水やりをしましょう。水やりのしすぎは、根腐れの原因にもなります。

最高気温と最低気温に差があるほど美しく紅葉します。昼と夜の気温差が10℃以上あることが理想なので、昼間ではできるだけ寒さにあて、夜間は室内に取り込んだり、不織布を掛けたりして防寒対策をしましょう。
[寄せ植えをしてみよう]

kurumi さんの作る寄せ植えは、どれも多肉植物の魅力を最大限に引き出しながら、季節の移ろいを感じさせるものばかり。「初めて寄せ植えをするなら、バラの花のようなロゼット形の多肉植物をメインにするのがおすすめ。まわりを埋めるつぶつぶ形の多肉植物は、ピンセットを使ってまっすぐ挿すのがコツ」だそうです。

ロゼット形の多肉植物を主役に、まわりをつぶつぶ形の多肉植物でみっちり埋めた寄せ植え。「2 種類の寄せ植えを並べて飾るなら、ロゼット形の多肉植物の高さをそろえると、バランスよく見えますよ」とkurumi さん。ホーローのカップと一体になって、オブジェのような佇まいを醸しています。

紅葉し始めたロゼット形の多肉植物を2 つ並べ、まわりにピンクに色づいたつぶつぶ形の多肉植物を添えた寄せ植え。「少し大きさの違うロゼット形の多肉植物を、高さをそろえつつ、寄り添うように植えるのがポイント」という作品は、まるでブーケのような愛らしさです。
(さいごに)
「多肉植物は暑さに強いと思われがちですが、乾燥地帯が原産の多肉植物にとって、高温多湿の日本の夏は一年で最も過酷な季節。多肉植物ライフを始めるなら、じつは残暑が落ち着き、過ごしやすくなる秋がベストです。緑色だった葉が日に日に色づいていくのが楽しめますよ」とkurumi さん。この時期は園芸店にもカラフルな多肉植物が並ぶので、ぷっくりかわいい多肉植物のあるこころぐ暮らしをはじめてみませんか?
プロフィール
kurumi

多肉植物の育成歴は約15年。2020年に多肉植物の寄せ植え文化の普及と講師育成を目的として「多肉スタイリング協会®」を設立。設立から5年で会員数400 名を超える。著書は『花のような多肉植物の寄せ植え』(主婦の友社)、『多肉植物のみっちり寄せ植え』(日本文芸社)、kurumi の多肉スタイリングの世界』(メディアパル社)など多数。2025 年9月に「365日いつからでも始められる!多肉植物寄せ植え手帖(山と渓谷社)」を発売したばかり。
Instagram:@kurumilepetitjardin
撮影協力:ガーデンメッセ八王子
http://www.garden-messe.com/
撮影:竹下アキコ
取材・文:鞍田恵子



